幽霊が出ると噂され、誰も入ることのない
「開かずの資料室」
たまっていく一方の書類を保管する場所を求める
コロ沢くんが、ついにこの資料室に目をつけました。
コロ木くんや私が止めるのも聞かずに
中に入っていくコロ沢くん。
あとを追うコロ木くん。
私が入ろうとすると、ドアがバタンと閉まってしまいました。
そして中から二人の悲鳴が!
大丈夫か?今行くからね!
私は焦ってドアノブをガチャガチャして
やっとのことで扉をこじ開け
中に入りました。
明るいところから急に入ったためか、暗い資料室が黒一色の闇になっています。
目をこらしてみると、先に入った二人が手をとりあって
ガタガタ震えていました。
彼女たちが注視しているもの。
視線を追ってみると、
うわ!!なんだ?あれは!
じっと見ていると、だんだん目が慣れてきたのか
謎の物体の輪郭が見えてきました。
え?あれってもしや?
これは先代社長の銅像ではないか!
以前は社長室に置かれていたのに、なんでこんなところに??
「先代社長ですかぁ?」
銅像だとわかって安心したのか、コロ沢くんがいつもの調子に戻りました。
そうなんだよ。今の社長が就任してからこの銅像が見えなくなったのだが、こんなところに押し込めておいたのだね。
「それにしても、きったない部屋ですね」
コロ沢くんが率直な意見を言います。
そのとおり。
どうやら、現社長は片付けが苦手らしく、
手当たりしだいにこの部屋にぶち込んだ形跡があるのです。
さてはこれを隠すために、誰にも部屋に入らせないように
幽霊話を流したな・・・。
(コロ山くん、君もグルか?)
「なぁんだ!じゃ、この部屋片付けて総務部の荷物を置いちゃおうっと」
ああ、この「開かずの資料室」も、片付け女王・コロ沢の
支配下になってしまったか・・・。
こうして、私たちは思わぬ戦利品を得て
総務部に戻ったのでありました。