持ち物リストをつくる

電子ピアノを購入したはいいが、問題は「置く場所がない」ことだった。

マンションは家族3人で暮らすには十分な広さだが、さすがに趣味の部屋をつくるまでではない。居間に置こうと思っていたが、妻にあっけなく却下された。

それでなくても、モノがごちゃごちゃと置いてある家なのだ。

少し整理したほうがいいな・・・。
これまで家の中のことはすべて妻に任せてきたから、これを口に出すのははばかられた。
自分では何もしないで散らかし放題で何言ってるの?
と怒られるのがオチだ。

家事ひとつ手伝ったことがない私に
「整理整頓」
を言い出す資格があるかどうか。

ただ、職場と同様、家庭内でも「整理整頓」が必要なことは頭ではわかっていた。

さて、どうやって切り出すか・・・。

まずは、自分が先に動き出さなければならないだろう。
自分では何もやらないで、人にやらせようとしても成功しない。人は動かないのだ。

まずは、納戸として使っている小部屋の中を整理することにした。

思えば、ここに引越してきたときに、当座使うものだけを部屋に置き、残りはダンボールに入れてこの部屋に放り込んだままだった。

いい加減整理しなければならない。
いい機会である。

3連休のときに早速着手した。

妻も娘もいきなり何を始めたんだ?と静観している。手伝ってはくれない。

無理もない。
ダンボールを開けてビックリした。
私のものばかりではないか!

学生時代に聞いていたレコード。
引越しをした際にも、妻から
「これは、まだとっとくの?」といわれ
「大事なものだからとっとくんだ」
と言ったはいいがダンボールに入れてそのままになっていた。
第一レコードなど今ではプレーヤーがなければ聞けないではないか。

だが、捨てるには惜しい。
そのレコードジャケット1枚ですら、私の青春の思い出につながるものなのだ。
捨てたくはない。

その他にもいろいろ出てきた。
中には
「こんなものを取っておいてどうするんだ?」
と思うようなものまで。

さすがにこれは捨てることにする。

捨てるもの
とっておくもの
に分別すると、結構捨てるものがある。

これでスッキリする。

それはいいが、これをとっておいてどうするつもりだったのだろう?と我ながら思う。

今、とっておくものとして再びしまおうとしている品々は、果たしてこの先使う時がくるのだろうか?
何のために私はこれらのものをとっておこうとしているのだろうか?

それを考えると、しまおうと思っていた手が止まってしまった。

今は捨てたくないものである。
ということは、何か意味があるに違いない。

とりあえずしまっておかないと収拾が付かなくなってしまうが、これは「持ち物リスト」として記録しておいたほうがいいのではないか?

私はノートを持ち出して、ひたすら書いていった。

整理するのはあとでよい。

何をどこに(どのダンボールに)しまったのかさえ記録しておけばよい。

そうやってひたすら書いた。
書いてはダンボールをしまった。

すると乱雑だったこの納戸部屋がスッキリしたではないか!

ここにピアノを置けばよい。

片付けたのだから、それくらいは役得があってもいいだろう。

こうして、私の新たな趣味の「電子ピアノ」は小部屋に鎮座し、音楽部屋となしていた。

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